実証実験の進捗状況

開始報告

Holoeyes 株式会社-01
Holoeyes 株式会社-02

Holoeyes株式会社は2020年11月30日(月)から東京都立多摩総合医療センターおよび東京都立墨東病院において実証実験を開始いたします。
実証実験では、同社が提供するCTスキャンやMRIから生成した3DデータをVR化するサービスを手術の検討、トレーニング、教育等の現場にてご活用いただき、業務の効率化・高度化におけるVR活用の有用性の検証します。
サービスによる手術の効率化や手術スタッフおよび患者の術式の理解度の向上に対する効果は、サービスを利用した医師へのアンケートを用いて検証いたします。
なお、本実証実験は2021年1月末までの実施を予定しております。

最終報告

都立墨東病院、都立多摩総合医療センターで行われていたHoloeyes 株式会社の実証実験が2021年2月12日に完了しました。

Holoeyes 株式会社が提供するCT撮像データをVR空間上に3D化するサービスについて、実証実験では肝胆膵手術の症例に対する解剖学的理解度や腹腔鏡肝切除手術における有用性の検証を医師に対するアンケートやインタビューを通じて行いました。

まず、肝胆膵手術の症例に対する解剖学的理解度に係るアンケートでは、解剖学的理解度を10段階で医師が評価し、従来手法である2Dモニターによる2次元画像・3次元画像と比較して、本実証実験にて実施した3D空間による3次元画像により理解度の向上を確認しました。また、医師の経験値別(※)で比較すると、特に後期研修医において理解度の向上度合が最も高いことを確認しました(最大37.6%改善)。

解剖学的理解度(全体)

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解剖学的理解度(医師の経験値別)

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※上記2グラフは術野を10とした時の解剖学的理解度を示しています。
※医師の経験値別カテゴリーの定義は以下の通り。
後期研修医:手術経験1~10件。初期研修を終え、専門医資格を取得前の3~6年目の医師。
専門医:手術経験11~50件。外科の専門医資格を取得し、さらに経験を積む7~14年目の医師。
ベテラン専門医:手術件数50件以上。専門分野の手術経験を一通り持つ、15年目以上の医師。

腹腔鏡肝切除手術における有用性に係るアンケートでは、サービスの有用性を5段階で医師が評価し、全項目の平均値として4.28という評価を受けており、 3D空間による3次元画像が有用であることを確認しました。項目別でみると、特に「腫瘍位置の把握」が4.50という高い評価を受けていることを確認しました。

腹腔鏡手術における有用性の評価(項目別/平均値)

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サービスの有用性に係るインタビューでは、手術シミュレーション及び手術前カンファレンスにおける有用性として、医師からは「良いシミュレーションになった」や「エフォート(目的を達成するために使われる精神的・肉体的エネルギーの量)が下がるように感じた」などといったコメントをいただいており、解剖学的理解度の向上におけるサービスの有用性を評価を受けていることを確認しました。

以上の検証結果を以て、手術の効率化や研修効果の向上等という社会課題の解決に資するものとして、Holoeyes 株式会社が提供するVR空間上に3D化するサービスの有用性は高いと考えられます。一方で、 サービス導入に係る通信環境や現場職員におけるオペレーションの定着度の違い等の運用上の課題も確認され、今後、病院等における導入に向けて必要な対応事項も整理されました。

今後、本実証実験における効果検証の結果を活用し、公共調達による導入などを推進してまいります。